今週連邦上院議会に提案された2法案は、比較効果研究の進展に弾みをつけるものだが、どちらの法案も研究の推進主体となる施設の名称に「比較効果研究」を使うことを避けている。上院財政委員会のマックス・バウカスおよびケント・コンラッド議員によって提出された法案は、もっぱらPatient-Centered Outcomes Research Instituteの創設を謳っている。一方のAffordable Health Choices Actは、 上院の健康・教育・労働・年金委員会(Senate Health, Education, Labor, and Pensions Committee、HELP委員会)のテッド・ケネディ委員長により提案された法案で、先週末同議員が関係各所に伝えた骨子に肉付けした、より完全版に 近いものだが、同法案では、連邦医療研究品質局(AHRQ)の中にCenter for Health Outcomes Research and Evaluationの創設を提案する短い条項が見られる。
もちろん、この予想は外れる可能性もある。ヘルスケア改革の予言者とし てのここ7ヶ月の私の実績は取り立てて傑出しているという訳でもなく、私の予想は、風向きの移り変わりで変遷してきた。昨年11月の選挙の直後、トム・ダ シュル氏の名前が保健福祉省(HHS)長官の有力候補として大きく取り上げられた時、私はダシュル氏の連邦保険理事会(Federal Health Board)を創設するというアイデアが、オバマ政権のヘルスケア改革提案に盛り込まれることはあり得まいと考えていた。しかし数週間後に、ダシュル氏が HHS長官兼ホワイトハウスのヘルス改革オフィスのディレクターに指名され、ダシュル氏と『緊急:ヘルスケア危機に関して何ができるのか (Critical: What We Can Do About the Health-Care Crisis)』 で共同執筆したジーン・ラムブリュー氏がホワイトハウスのヘルス改革オフィスの副ディレクターに指名されると、私は考えを改め、彼らの本が改革法案の青写 真となって、 連邦保険理事会も大きな役割を担うのだろうと考えた。その後数週間経って、ダシュル氏が指名を辞退すると、私はまた考えを改め、すべての過程が混乱状態に あると考えた。しかし、その後まもなくして、特にバウカス上院議員とケネディ上院議員を軸にした進展の兆候、そして合意形成の動きが現れ始めた 。
今となっては、連邦保険理事会のアイデアを語るのは、「いつもニコニコ」のチャールズ・グラスリー上院議員のみだが、彼の意図は、あくまでもこのアイデアに反対の立場をとっていることを知らしめることだ。(この立場は、素晴らしいKaiser Health Newsの新ウェブサイトに先週掲載されたインタビュー記事からも明らかだ。)
ヘ ルスケア法案の大枠がおおよそ決まったとしても、その法案の詳細事項も重要だ。先週末、ケネディ上院議員の事務所から、米国民のヘルスケアの選択に関する 法案の「草案の草案」である、the American Health Choices Actが発表された。しかし、この170ページにも及ぶ文章で は、以下に記述するヘルスケア改革の2側面に単に注目したに過ぎない。その2側面とは、①健康保険の個人への義務化、および雇用主が保険を提供しない限り 代わりに罰金を払う規定を伴った、保険エクスチェンジの創設(この文書内では「ゲートウェイズ(gateways)」と呼ばれている)と、②介護施設への 入居あるいは訪問看護が必要になった個人に対して介護を提供する内容の、Community Living Assistance Services and Supports Act(CLASS法案)による新たな自主的保険プログラムの設置である。
ヘルスケア改革において最も不和を 呼び起こす可能性のある問題の1つに、健康保険エクスチェンジにおいて民間保険と競合させる目的で公的保険を創設するかどうかの議論がある。The American Health Choices Actの草案では、HHS長官が創設し、メディケアの償還率に10%上乗せして医療提供者に償還するという「経済的に手の届く保険」について軽く触れられ ている。しかしこの公的保険についてはこれ以上の詳細事項は明らかにされていない。また、ケネディ上院議員の法案が財政赤字を増やさないようにするための 収入源をどうするつもりなのかはまだ分からない。ヘルスケア改革は広く支持を得ているものの、こうした細部にこそ、改革への具体的提案への反論を呼び起こ す火種が見え隠れしている。